いびきとは主に空気の通り道である気道が狭くなった時に発生する摩擦音です。
夜間の睡眠中にいびきをかくということは、何らかの原因により呼吸の妨げが発生している事になります。中には数十秒間呼吸が停止し、大きないびきとともに呼気が再開し、また停止する事を繰り返す方もいます。
人間の眠りには大きく分けて2つの眠りがあります。ひとつ目は夢をみているといわれるREM睡眠とそれ以外のノンREM睡眠です。さらにノンREM睡眠には浅い睡眠と深い睡眠があり、人はそれらを一定のサイクルで繰り返しながら朝を迎えます。
しかしながら、何らかの影響によりそのリズムが一定でなかったり深い睡眠が得られない場合を睡眠障害といいます。
良い眠りをしている方の場合、深い睡眠と浅い睡眠を一定の間隔で交互に繰り返します。
睡眠時無呼吸症の方の場合、上の図のように深い睡眠が得られない事があります。中には夜中に何度も目が覚めてしまったりするなど、本人は朝まで良く寝ているつもりでも本当は質の良い睡眠が得られていないため、昼間に耐えがたい眠気が襲ってくる事もあります。
SAS=Sleep Apnea Syndrome
睡眠時無呼吸症候群とは睡眠中に何らかの原因で呼吸が止まる、もしくは弱くなる事をいいます。主な原因としては睡眠する事で舌の付け根が落ち込み気道を塞ぐことで起こります。ただ、呼吸が長い時間止まるわけではなく、数十秒呼吸を止めていびきと共に呼吸を再開し覚醒し、また呼吸を止める。と言う事を一晩に数百回繰り返す方もいます。
無呼吸によって睡眠中に無くなる事は稀です。むしろ恐ろしいのは、無呼吸による影響で起こる二次的な問題です。記憶に新しいところでは、新幹線の居眠り運転に代表される、昼間の強い眠気による事故です。実際に夜間の無呼吸により、昼間運転中に強い眠気から居眠り事故を起こした方、重要な会議中に居眠りをしてしまう方など、自分だけではなく周りの人に(家族にも)被害を与えてしまいます。
しかしながら、現在の医療技術の発展により睡眠時無呼吸症候群は、しっかり治療さえすれば、恐ろしいものではありません。放置しておく事が一番の問題です。
・高血圧症 2倍
・冠動脈疾患 3倍
・脳血管障害 4倍
・心筋梗塞 4倍
OSAS(閉塞性SAS)は夜間の不眠や日中の傾眠を起こすだけでなく高血圧症や肺動脈圧の上昇により心肥大を もたらし、冠動脈疾患や心臓発作を引 き起こすことが明らかにされています。
睡眠時呼吸障害者の交通事故発生率 は7倍
いびきとは気道を空気が通る時に発生する摩擦音です。
無呼吸の方の場合、図のように舌の付け根や軟口蓋が睡眠中に落ち込み気道を狭くし、いびきを発生させる場合が多く、主な原因としては肥満と言われています。
しかし日本人の場合肥満傾向になくても、鼻の異常や骨格の問題などが原因となる場合もあります。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は眠っている間に呼吸が停止する疾患です。
そのため、寝ているときにどのような睡眠状態なのか、呼吸の状態はどのようになっているかを睡眠時に検査しなくてはなりません。これには睡眠ポリグラフィーには簡易PSGと精密PSGの2種類があります。
簡易の場合はご自宅で検査出来ますが確定診断が付きにくい短所があります。基本的には1泊2日(夕方~翌朝)で入院していただき精密PSG検査を受けていたたせきます。
イラストのように睡眠状態を見るために脳波、筋電図、眼球運動などを、呼吸状態を見るために、お腹と胸にバンドを巻いて動きをみます。そして血液中の酸素の濃度をパルスオキシメータと呼ばれるセンサーを付けてベッドに入っていただきます。センサー類がじゃまに感じるかもしれませんが、決して痛みを伴うものではありませんので安心してリラックスして検査を受けて下さい。
睡眠ポリグラフィーの結果は、医師や専門の臨床検査技師によって解析されます。患者さんには、無呼吸・低呼吸数、睡眠状態などの結果を交え、睡眠時無呼吸症候群(SAS)であるかどうか診断結果をお伝えします。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)と診断された場合は、今後の治療方針についてご相談させていただきます。
午後4時ごろ:入院(ご都合により変更可能)
必要に応じて各種検査
午後8~9時ごろ:各種センサー取り付け
午後8時30分~:検査開始
朝6時ごろ:センサーを取り外し検査終了
朝6~9時ごろ:患者さんのご都合に合わせて退院
後日:検査結果報告及び治療開始
気道閉塞の原因が扁桃や口蓋垂(のどちんこ)の肥大やアデノイドであると明らかな場合や、他の治療方法がうまくいかない時には耳鼻咽喉科的な手術をすることでSASが改善されることがあります。
(但し当院では、耳鼻咽喉科がないため外科的治療は行っておりません。)
歯科装具(スリープスプリント)を睡眠中に装着することで舌や下あごを前方に固定して舌の後方の気道スペースを広げて気道の閉塞を防ぎます。平成16年度から保険診療が可能になりました。
まず原因となる脳疾患や疾患自体の治療を行います。慢性心不全の患者さんで約3~4割と高頻度で睡眠中に周期的な呼吸運動の停止による無呼吸(チェーン・ストークス呼吸)、すなわち中枢型睡眠時無呼吸症候群(CSAS)を合併すると報告されています。
参考情報:日本呼吸器学会ホームページ ほか